リリースからそろそろひと月、何周も何周も聴いてじんわりと良さがからだにしみ込んできたthe chef cooks meの新しいアルバム・『回転体』です。
これまた大好きな前作の『Joy&sorrow&tears&smiles』をライブハウス(たしか今池の得三だったかな)で手にしてから、なんだかんだでもう3年半経ちました。
待ち続けたその3年間、積もりに積もったシェフへの期待。
だっていままでリリースしてきた音源、全部良いもんね。
どれもこれも、ずーっと聴き続けている名作ばかり。
でも今回の『回転体』は、ぼくのその身勝手な期待に見事に応えてくれたばかりか、新しい驚きや気持ちよさも加えて届けてくれる、ド名盤でした。
/*/
はじめてシェフのライブを見たときに感じたのは、「なんて人間くさくておもしろいバンドなんだろう」ということ。
ちょうどその頃は当時まだ出てきたばっかりだったサカナクションとかテレフォンズなんかの電子音を織り交ぜて踊らせるロックみたいなのが楽しくて、個人的に良く聴いていた時期でした。
ただそういうのってどこか機械的で、思いっきり好きになることはできなくて(どことなくオシャレっぽくて敬遠してた部分もある…笑)
最初は、シンセぴゅんぴゅん鳴らしてミラーボールぐるんぐるん回してヘーイ!みたいなシェフの音楽もそういう感じなのかなとなんとなく先入観があったんです。
でも、初めてライブを直接見て、なんだこの人らめっちゃくちゃ人間じゃねーか、と。
かっこつけてるわけでも隠してるわけでもなんでもない、この人たちにとって等身大の音楽がポップな皮の一枚下にどろんどろんと渦巻いているんじゃないか、とそんな感じがしました。
それでCDを買って聴いてみれば、やっぱりオシャレな感じがしてたのは勝手な先入観で、僕が大好きなブルーハーツみたいな人間むき出しの音楽。
それから出るたびにCDは買って聴いているけど、聴けば聴くほどシェフの(主にシモリョーさんの)繊細さ、皮肉なところ、感情的な部分、なんなら世間への怒りだったりとか、そういうものが骨格になってるんだなってことがわかってきました。
それで前置きが長くなってしまったけど、今回の『回転体』はそういうシェフの人間くささの現時点での極地みたいなアルバムになっていると思います。
バンドのサウンドはずいぶん変わったし、コーラス含めてアレンジも前のとはぜんぜん違うけど、骨のところはズレていないです。シェフのまま。
今回はプロデューサーにASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチさんが入ってたりもして話題性もあるんだけど、そんなの関係なしに売れるべきCD◎
いままでのCDとおなじように、これからもずっと聴きつづけるであろう、大切なアルバムがまた一枚増えたことに感謝です。
『song of sick』
ああ ぼくの胸を焦がす 世界中の歌
どうかひとつとして消えないでおくれ
きみは 僕の すべて
伝えるすべはたったひとつしかない
これこそが僕のしたいこと
たとえばこの耳が聞こえなくなったら
ジャケットを眺めながら きみへの思いで音をならそう
いままできみがこうして歌ってくれたから
そうそう僕は忘れはしないさ 安心しろよ
ああ 寝ても覚めても きみを思ってる
ああ 僕のすべてを狂わせた無数の歌
アイラブユー!僕はきみのもの
ミュージック 鳴り続けておくれ
余計なことは言わないから
アイミスユー!きみがいないなら
ミュージック ああ何にもなれない
きっかけはきみさ 狂おしいほど愛してる
この曲はきっと今までのシェフの集大成だし、僕もいままでこう思ってシェフを聴いてきたし、きっとシェフが好きな人っていうのはほかの音楽にもこう思っていることでしょう。
曲のつくりも含めて大好きな曲です。こういうのが聴けるって、ありがたいことです。
最後に動画ぺたり。
『適当な闇』という曲です。
シェフの中でもでっかいテーマを歌った曲です。すばらしいです。